ITジャーナリストのブログでの噂話から始まったグーグルのビデオ投稿サイト、ユーチューブの買収話は、買収額もほぼ予想通り16億5000万円でグーグルが買収することで決まった。実現するのは4割の確率とそのジャーナリストは書いていたが、ウワサは本当だった。買収額も5000万ドルの違いしかなかった。先週、ブログの世界で急速にこの話題が広がった段階では、買収話はほぼ決まっていたとみてよいだろう。次世代のグーグルになりえるユーチューブの買収により、グーグルは最低でも10年間はネットビジネスの世界で圧倒的な主導権を握ることになる。
16億5000万ドル、約2000億円というと目がくらむ金額だが、グーグルの1250億ドルという株式時価総額から考えれば、安い買い物といえるだろう。潤沢な資金を持つグーグルだが、今回は株式交換により買収するので資金面での心配もない。
ユーチューブの2人の創業者は巨万の富を手にするが、ベンチャーのエグジットとしては上出来といえる。このまま事業が伸びれば、株式上場などにより、グーグルの2人の創業者並みの資産を持てるかもしれないが、一方で、ユーチューブの事業は著作権という深刻な問題を抱える。問題が顕在化すれば、音楽配信のナップスターのように事業が行き詰る可能性もある。
企業価値が急降下する前にグーグルの傘下に入り、創業者利益を確保する一方で、グーグルの巨大な力を活用して著作権問題をクリアする。両社にとって利益のあるM&Aといえよう。
ユーチューブは昨日、映像などのメディア企業3社とコンテンツ契約を結んでいるが、これはグーグル主導で進められた可能性もある。同じ日にグーグルもグーグルビデオについて同様の発表をしている。契約の範囲でユーチューブ上でテレビや映画の映像の流通を合法的に行える。ユーチューブは9月中旬にWarner Music Groupとも同様な契約を結んでおり、著作権問題での訴訟のリスクは小さくできる。
ネットの世界ではダントツの1位がいて、2位以降はかすんでしまう。ネットワークを通じて、ユーザーも資金も人材までもトップ企業に集中していく。グーグルをみているとそれは事実だと思う。
情報検索でトップとなり、巨額の資金力をバックに有望な事業を次々に傘下に収める。SNSのマイスペースとの提携により、急成長するSNSのビジネスモデルも手中に収め、今回はユーチューブである。グーグルの傘下に入ることでユーチューブは「映像流通でのグーグル」になり、その分野の支配権を握るだろう。グーグルと競う各社もユーチューブの買収に動いていたが、豊富な資金力、技術力を持ち魅力的な社風のグーグルには勝てなかった。
巨大化するグーグルをとめる力を持つ企業はもはや存在しないのか。情報流通という重要な事業の主導権を1社が握るというのはこれから大きな問題として浮上する。20世紀にメディアの世界で君臨したテレビも新聞もグーグルの前にひざを屈するのだろうか。「メディアの危機」と騒ぎ立てる人々もでてくるだろう。巨大化したマイクロソフトを襲ったのは独占禁止法の問題だった。グーグルを止めるのはもはや企業ではなく、世界がその存在を許すかどうかにかかっている。
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